虫歯はフッ素を上手に使うことで防ぐことができます。
ではブラッシングは何のためにするのでしょうか?
実は歯周病(歯槽膿漏や歯肉炎)の予防に絶大な効果があるのがブラッシングなのです。
テレビのコマーシャルで「プラークコントロール」という言葉を耳にすることが
多くなりました。
化学的、機械的に歯垢(プラーク)を減少させることが、一般にプラークコントロールと呼ばれています。
ではプラークを少なくすると歯周病は良くなるのでしょうか?
[1] 専門家が器具を用いてプラークを除去した場合
[2] 患者によるブラッシングのみの場合
[3] この両者を併せた場合
[3]の結果がいいのは当然として[1]と[2]を比べると[2]の方が成績がよいのです。
これは単にプラークを除去すると言うだけでなく、ブラッシングによる刺激が重要であることを示しています。
ブラッシングによる機械的な刺激が歯肉の抵抗性を増していると考えられます。
特に歯と歯の間は普段物理的な刺激を受けにくい場所で「コル」と呼ばれています。この部分にブラッシングによる刺激を与えることが大切です。
このための様々な器具が考案されています。例えば歯間ブラシ、フロス等。使うと確かにきれいになります。ただ長続きしないのが欠点といえます。
そこで考え出されたのが歯ブラシ一本でできる「つまようじ法」です。
これは岡山大学歯学部予防歯科の渡邊教授の提唱するブラッシングのやり方で「つまようじ法」に適した歯ブラシを用い、
歯と歯の間に毛先を滑り込ませるようにしてみがく方法です。
マスターするまで少し時間がかかりますが一度身につけてしまえば歯周病を防ぐことが可能になります。 「つまようじ法」は、歯周病の予防研究から生まれた歯の磨き方です。 歯周病(歯槽膿漏や歯肉炎)の予防には、歯垢を取り除き、歯肉をマッサージすることが大切。 そのためには、歯と歯の間をつまようじを使う要領で歯を磨く「つまようじ法」が効果的です!
● 渡邊 達夫(ワタナベ タツオ)
岡山大学名誉教授(口腔保健学)で、現在は(学)朝日医療専門学校岡山校校長、 NPO法人お口の健康ネットワーク理事長。 大阪大学歯学部を卒業後、広島大学歯学部助手、テキサス大研究員、広島大助教授を経て1982年から岡山大歯学部教授。
歯学部長などを歴任し、2007年3月の退職時は同大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学分野教授。
著書:『抜くな 削るな 切るな つまようじ法で歯も体も健康』
ブラシの毛先をすき間の大きさに応じて入れて歯ぐきをマッサージするように磨きます。
毛先を歯に対して、上の歯は毛先を下に、下の歯は毛先を上に向けて、
歯と歯ぐきの境目に当てます。
上の歯は斜め下へ滑らせて、下の歯は上へ滑らせてください。
歯ブラシの柄を歯ぐきの方へ傾け、ブラシが歯の表面に対して 30度の角度になるようにしましょう。
毛先が、歯の間に入ったのを、確認したら、何度かこの動作を繰り返します。
奥歯や歯の裏側は、歯ブラシの先の方を使って同じように磨いて下さい。
歯の表面や奥歯の噛み合わせなどは、つまようじ法以外の磨き方も使って磨いていきます。
歯垢がしっかりと取り除け、マッサージ効果もあるので、歯ぐきが強くなります。
始めは、歯ぐきから出血したり、歯ぐきが下がったように感じるかも知れませんが、これは腫れていた歯ぐきがしまってきているためです。1~2週間程度で出血は止まります。
万が一、症状が悪化したり、出血が続くような場合は、歯科医師にご相談ください。